大判例

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東京高等裁判所 昭和28年(ラ)134号 決定

本件記録に徴すると、債権者幸彌三吉は抗告人中野佐市を債務者とし、全国栄養食工業協同組合、外五名を第三債務者として、昭和二十五年八月二十二日東京地方裁判所に債権差押命令の申立をしたところ、同裁判所は右申立を認容して、同年九月五日本件債権差押命令を発するに当つて、債務者の表示を日米製菓株式会社右代表取締役中野佐市となしたものであるが、その後同裁判所は昭和二十八年四月二十二日右債権差押命令における債務者の表示を中野佐市(抗告人)と更正する旨の決定をなしたことが明である。ところで、前示債権差押命令に債務者として表示された日米製菓株式会社と右更正決定によつて更正された債務者中野佐市とは法律上人格を異にすることは抗告人所論のとおりであるけれども、本件記録殊に同記録中に存する債権差押命令申立書並びに債権取立命令などに徴して考えると、前示裁判所は本件債務差押命令をなすに当つて、債務者を中野佐市となすべきところを、誤つて、日米製菓株式会社右代表取締役中野佐市と表示したものであつて、固より同裁判所が当事者の判断自体を誤つていたものではなく、しかも叙上の表示は明白なる誤謬であると認められる。

従つて、右債権差押命令の債務者の表示は明白なる誤りであるとして、原裁判所が本件更正決定をしたのはまことに相当である。また更正決定は何時にてもなし得るものであるから、本件更正決定が債権差押命令後二年数カ月を経過した後になされたとしてもこれを違法とすべき理由はない。更に右債権差押命令が抗告人中野佐市に送達されていたかどうかというようなことは、本件更正決定の効力自体には何等影響を及ぼすものではない。

その他本件記録を精査するも原決定を違法とすべき瑕疵は認められない。

仍つて、本件抗告は理由がないものとしてこれを棄却すべきものとして、主文のとおり決定する。

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